(真宗大谷派 西念寺 福岡県田川郡香春町)
① はじめに:現代の“永代”への誤解
近年、「永代供養」や「永代管理」「永代経」といった言葉を耳にする機会が増えました。
けれども、本来お寺に伝わる「永代経」とは、意味も目的も異なります。
西念寺(福岡県田川郡香春町)では、永代経・永代供養・永代管理の三つを明確に分け、
それぞれに込められた願いを大切にしています。
また、納骨堂をご縁としてこれらの制度を理解していただけるよう努めています。
② 永代経 ― 仏法を伝える場を支えるお志
「永代経」とは、お寺という“み教えを聞き、伝える場”を永く護り続けるためのお志(懇志)です。
お寺は、故人の願いや歩み、そしてそのご縁によって築かれてきた“法の灯を伝える場”です。
その建物を守ることは、単なる施設維持ではなく、
故人の精神・魂、すなわちその方の本懐(ほんかい)や願いを大切にしていくことにつながります。
つまり永代経とは、
「お経(み教え)を永代に伝え残すための支え」であり、
「故人の願いを受け継ぎながら、お寺という聴聞の場を守る志」なのです。
※ お墓参り(納骨堂参り)とお仏壇(本堂)に参る意味の違いについての詳しい内容は、下記の記事で紹介しています。
👉 本堂・お仏壇・お墓(納骨堂)の関係について
③ 永代管理 ― お骨をまもるお手伝い
「永代管理」は、お骨を安全に保管・管理していくための制度です。
後継者が遠方におられたり、墓守が難しくなった場合に、お寺が責任をもって納骨堂内でお骨をお守りします。
ただし、永代管理はあくまで“管理”であり、定期的な法要や読経を含むものではありません。
つまり、お骨を守ることに重点をおいた制度です。
④ 永代供養 ― 供養をお寺に託す
「永代供養」は、仏事の継続が難しいご家庭に代わり、お寺がご遺骨の管理と供養を行う制度です。
年忌法要や彼岸・お盆などの節目に、住職が責任をもってお勤めいたします。
「供養を続けたいけれど、継ぐ人がいない」――そうした願いに応える形として、
ご依頼主に代わってお勤めするのが永代供養です。
管理に“法要・読経”が加わった形といえます。
近年では、宗教者が常駐しない霊園や納骨施設でも「永代供養」という言葉が用いられています。
しかし、そうした場合には、お勤めや法要の継続が伴わず、お骨を一定期間保管・管理する形が多いため、
実際の内容としては「永代管理」に近いものと言えます。
西念寺では、仏法に照らされた“み教えの場”としての永代供養を大切にしています。
⑤ 三つの「永代」に込められた願い
名称 | 内容 | 主な目的 |
---|---|---|
永代経 | お寺を支えるお志 | 仏法を伝える場の継承・法灯の維持 |
永代管理 | お骨をお守りする | 納骨堂の安全な保管 |
永代供養 | お寺が供養を代行 | 仏事継続の支援・安心の提供 |
⑥ 結び
「永代」とは、“永く代わってゆく”ということ。
形は変わっても、願いとご縁は受け継がれていきます。
西念寺では、供養を託すことも、教えを伝えることも、ともに“いのちの継承”と受けとめています。
どうぞ、お一人おひとりの思いに沿った形で、永代のご縁をお結びください。
関連リンク
西念寺
https://sainennji.com/西念寺について